「アメリカの大学を受験したい」「日本の大学を帰国子女枠で受験したい」、そう思っていろいろと調べているうちに”SAT”という試験の存在を知った人も多いでしょう。 SAT試験は日本ではあまり知名度の高くない試験ですが、アメリカでは非常に有名な試験で、「アメリカ版センター試験」などと言われることもあります。 今回の記事では、そんなSATがどんな試験で何のために受けるのかといった概要から、受験申込の具体的な方法、試験当日の受験方法、SAT試験のスコアの利用方法についてまで紹介していきます。 これを読めば、「SATって何?」という疑問がクリアになること間違いなしですよ。 SAT試験の公式サイトはこちら
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目次
SAT試験とは?どんなテスト?
SATとは、アメリカの大学受験のために生まれた統一試験のことです。読み方は、ローマ字読みの「サット」ではなく、アルファベット読みの「エスエイティ」。本来の名称は” Scholastic Assessment Test”ですが、SATのままで表記することの方が一般的です。 正直なところ、SATという名前は日本に住む皆さんにとっては聞き馴染みの薄いものだと思います。しかし、アメリカでは非常に知名度の高いテストで、大学進学を目指す多くの高校生によって受験されています。最盛期と比べると受験者数は減少傾向にありますが、直近の2021年でもアメリカの高校生のうち150万人がSATを受験していて、未だに規模の大きな試験であることが窺えます。 参照: Get the 2021 Results | College Board
SAT≒大学入試共通テスト(旧センター試験)
SAT試験の点数は、アメリカの大学受験において重要な要素の1つとなります。また、東京大学や慶應義塾大学など、日本の大学の中にも帰国子女枠でSATを利用できるところがいくつか存在します。 SAT試験は、大学入試における立ち位置が似ていることから、「アメリカ版センター試験」などと、日本の大学入試共通テスト(旧センター試験)にたとえられることが多いです。しかし、受験者が大学を目指す主に高校生である事、測られるものが高校卒業程度の学力である事以外に、SATと大学入試共通テストとの間にはいくつかの相違点が存在します。 主な相違点について表にまとめましたので、確認していきましょう。
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相違点 | SAT試験 | 大学入試共通テスト |
---|---|---|
受験回数 | 1年に複数回実施され、何回でも受験可 | 1年に1回だけ |
科目数 | Reading and Writing Test Math Test 以上2科目 | 外国語・国語・数学・理科・地理歴史・公民の全6教科30科目 |
大学入試での役割 | ハイスクール在籍時の成績やボランティア活動歴などと合わせた、書類審査の1項目。 SATだけで合否が決まることはない。 | 国立大学の一次試験として利用。一部の大学などでは、共通テストだけで合否が決まることもある。 |
私たち日本人の感覚だと「大学入試=テスト一発勝負」というイメージがありますが、SATの点数はあくまで評価項目の1つに過ぎません。また、近年ではコロナウイルスによる試験のキャンセルが相次いだことから、SATスコアの提出を任意にしている大学も増えています。 以上のことから、SAT試験はアメリカの大学を受けるにあたって、「絶対に受けなければいけないわけではないけれど、受けておいた方が有利に働きやすい」といった立ち位置のテストだと考えれば、おおむね間違いありません。
豆情報
マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)で2022-2023年度の入試に関して次のようなアナウンスがありました。
We require the SAT or the ACT for both prospective first year and transfer students. ・・・
コロナの影響もあり任意となっていたSAT / ACT試験のスコアが2022-2023年度から必須に変わったようです。
2024年度現在、SATやACTのスコアを必須とする大学が増えてきていますので注意が必要です。
SAT試験の受験は2023年からデジタル化
現在のSAT試験は、2023年度からアメリカ以外の試験会場で、2024年度から全ての試験会場でデジタル化されました。
参照: Digital SAT Brings Student-Friendly Changes to Test Experience | College Board Newsroom
近年、パソコンやタブレットを用いた試験形式であるCBT(Computer Based Testing)やIBT(Internet Based Testing)が注目されていることからも、これは自然な流れだと言えるでしょう。
デジタルSAT試験の詳細はこちらの記事をご覧ください。 → 「最新SAT対策情報】デジタルSATはどう変わる?2023年から実施されるThe Digital SATを詳しく解説」
SAT試験の試験科目は?何教科あるの?
SAT試験の試験科目は2種類で、以下の表のような内訳になっています。
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科目 | 問題数 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|---|
Reading and Writing | 27問×2Module | 32分×2Module | 800点 |
Math | 22問×2Module | 35分×2Module | 800点 |
「アメリカ版センター試験」と言われるわりには科目が少ないと思った人も多いかもしれませんが、Reading & Writingでは、文学や歴史学などの人文系、生物学や物理学などの自然科学系など、さまざまな学問分野からの文章が出題されます。
またMathの場合も単純な計算問題だけでなく、日常社会に即した実用的な応用問題が出題されます。教科としては国語・数学ではありますが、そこで問われる知識はアメリカで学校教育を受けた前提のものです。そのため、日本人が何の対策もなく受験しても高得点を取ることは難しいでしょう。
それぞれの具体的な対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【最新SAT対策情報】SAT試験のEnglishとMathを徹底解説
ケドテックでSAT対策を担当しているVo先生による「SAT試験完全マニュアル」はこちらをご覧ください。
SAT試験の受験申込方法
「SAT試験を受けるためには、アメリカに行かなければいけないのではないか」と不安に思う人も多いでしょうが、そんなことはありません。SAT試験はアメリカ以外の諸外国でも実施されていて、もちろん日本でも受けることが可能です(例年7回/年 実施)。
ここでは、日本国内でSAT試験を受験するために必要となる申し込みの方法や、持ち物などを含めた当日の流れについて確認していきましょう。
SAT試験の受験申込までの流れ
日本でSAT試験を受験する場合、オンラインで申し込みを行うことができます。 主な手順は以下の通りです。
- College Board公式サイトにアクセス
- [Create Account]でアカウントを作成
- [Find Test Center]で試験日程と会場の選択
- 顔写真付きIDをアップロードする
- 受験料$111の支払い ※SAT受験基本料金$68と日本受験のための追加料金$43の合計$111 (2024年度現在)
- Admission Ticketのプリントアウト ※Admission Ticketは試験会場に入るために必要です
SAT試験受験当日は別途、身分証明書が必須
日本で行われるたいていの入試や検定試験では、受験資格があるかを確認する「受験票」があれば受けることが可能です。
しかしSAT試験の場合は、受験申込の際にプリントアウトしたAdmission Ticketに加えて、写真付きの身分証明書(ID)の持参が必要です。この身分証の記載情報とAdmission Ticketの情報が一致しない場合には入場が認められないので注意しましょう。
また、身分証明書なら何でもよいわけでもありません。基本的には「国(政府)か所属学校が発行したもの」「顔写真のあるもの」という2つの条件を満たしたものしか認められません。SAT試験での本人確認として認められる身分証明書と認められない身分証明書、それぞれの具体例は以下の通りです。
本人確認として認められる身分証明書
- パスポート
- 運転免許証
- 学生証(現役学生の場合)
※いずれの証明書の場合も、期限内であることが条件です。そのため、既卒学生の場合には学生証以外の証明書を用意する必要があります。
本人確認として認められない身分証明書
- クレジットカード
- 保険証
- 社員証
- 住民票や戸籍謄本
※国(政府)発行のものであっても、顔写真がないものは認められません。反対に、顔写真があっても発行元が会社やお店の場合も認められないので注意が必要です。
参照: ID Requirements | College Board
SAT試験受験当日の流れ
SAT試験はアメリカの試験であるため、日本の試験とはルールや流れが違っています。当日の持ち物や試験の流れなどを確認し、直前になって焦らないように心の準備をしておきましょう。
必要な持ち物
SAT試験の主催者であるCollege Boardは、受験時に以下のものを持参するように定めています。
- Bluebook™アプリケーションがインストールされ、試験のセットアップが完了している、フル充電されたテストデバイス(詳細なデバイス要件を参照)。
- Bluebook™アプリからのチケット。印刷したチケットを持参することをお勧めします。チケットは試験設定が完了した後にアクセスできます (試験の 5 日前から利用可能)。
- 写真付き身分証明書
- 作業用の鉛筆またはペンとスクラッチペーパー
- College Board のユーザー名とパスワード
- Mathセクションで使用できる電卓(Bluebook 内にはグラフ電卓が組み込まれています)※
※SATでの使用が推奨されている電卓機種についてはこちらをご覧ください
以下のリストはあった方がよいものになります。
- アラーム音のない時計。(Bluebook アプリケーションには、残り時間を正確に知らせるタイマーが組み込まれていますが、休憩時間を計ることもできます。)
- 充電ケーブルまたはポータブル充電器
- バッグまたはバックパック
- ドリンクまたはスナック(休憩用)
- バックアップデバイス(予備パソコン、ノートパッドなど)
参考: What to Bring on Test Day | College Board
入場時に携帯電話などの電子機器は回収される
SAT試験の試験会場内では、電卓や時計など必要なものを除き、電子機器の利用が禁止されています。そのため、携帯電話などは入場時に回収されるので注意しましょう。また、電卓や時計を持ち込む場合も、不必要な機能が付いていたり音が鳴ってしまったりする場合は回収の対象となる可能性があります。
それに加えて、休憩中の場合でもテキストや参考書で勉強することが禁止されているので、これらも会場に持ち込まない方がよいでしょう。
SAT試験結果の確認、および利用方法
SAT試験の試験結果は、受験からおおよそ2週間前後で発表されます。 College Boardのアカウント作成時に登録したメールアドレスにメールが届き、College Board公式サイトにアクセスすることで結果の確認をすることができます。 大学出願などにSATスコアを利用する場合、試験日の9日後までであれば、最大4校まで無料で大学にデータを送ることが可能です。4校以上に成績データを送りたい場合、または試験日から10日以上時間が経っている(試験結果を見てから送りたい時など)場合は、1校につき$12で追加登録をすることも可能です。 スコア提出期限は大学ごとに異なっているので、事前に志望大学の出願期限を確認し、余裕をもった日程でSATを受験しましょう。 参考: Test Fees | College Board
受験前に入念な対策をして、SAT試験で高得点を狙おう
アメリカでの大学受験においてSAT試験は未だに影響力の大きい試験の1つです。また、日本国内での大学受験においても、帰国子女枠などで利用することが可能です。
試験日程や受験科目を事前にしっかり確認し、入念な対策をとったうえで受験に臨みましょう。
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