【英検1級対策】準1級との違い・試験概要・合格ラインを徹底解説!CSEスコア導入の前後での合格率・合格点の比較分析付き

この記事では、これから英検1級を受けようと思っている人に向けて、英検の試験概要や合格ラインについて詳しく解説をしていきます。
あわせて受験する人の多い準1級との難易度の比較や違い、英検独自の採点基準である英検CSEスコアによる影響について解説。「英検1級を受けたいけれど、どれくらい難しいのかわからなくて不安」という人は、これを読めば英検1級の全体像が見えるようになるはずです。

それでは、早速確認していきましょう。

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目次

英検1級の試験概要とは?

英検1級は英検の中で最上位に位置する級です「大学上級程度」という目安の通り、日本の英語教育における最高難度の試験として知られています。
その他の級も含めた英検の全体像について、詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。
【最新英検対策情報】英検対策完全マニュアル 試験概要や申込方法を徹底解説・英検S-CBTの賢い使い方

英検1級の試験は一次試験と二次試験に分かれています。一次ではリーディング・ライティング・リスニングの3技能が、二次試験では面接形式でスピーキング技能が測定されます。

ではそれぞれの詳細を確認していきましょう。

英検1級の一次試験

一次試験は筆記(リーディング・ライティング)とリスニングの二部構成です。
回答形式はライティングの英作文だけ記述式で、それ以外の設問はすべてマーク式になっています。また、準1級と同様にリスニング問題の放送回数は1回なので注意しましょう。
それぞれの問題構成は以下の通りです。
リーディング・ライティング(100分)
大問番号問題形式問題数
リーディング短文の語句
空所補充
25問
2 リーディング長文の語句
空所補充
6問
3 リーディング長文の内容
一致選択
10問
ライティング英作文1問(記述)
参照:1級の試験内容|英検
リスニング(35分)
大問番号問題形式問題数
Part 1会話の内容
一致選択
10問
Part 2文の内容
一致選択
10問
Part 3Real-Life形式(※)の
内容一致選択
5問
Part 4インタビューの
内容一致選択
5問
参照:1級の試験内容|英検
※Real-Life形式とは、実生活にもとづいたリアルな会話形式のこと。店舗や施設でのアナウンスや留守番電話の録音など、実際にありえそうなシチュエーションでの音声が流れ、その内容に関する設問に答えます。

英検1級の二次試験

二次試験は、面接形式で行うスピーキング試験です。科学や芸術、経済などの社会性の高い分野に関する話題について、面接官(2人)と英語でコミュニケーションを行います。面接の時間は「自由会話」「スピーチ」「Q&A」の3形式合計で約10分間です。
それぞれの形式の詳細は以下の通りです。
スピーキング
問題形式内容詳細
自由会話面接官と簡単な日常会話を行います。
スピーチ5つのトピックが与えられ、その中から1つを選んで2分間のスピーチを行います。
Q&Aスピーチで選んだトピックや話した内容に関して、面接官からの質問に答えます。
参照:1級の試験内容|英検

英検1級は英検S-CBTの対象外

英検では、これまでの試験(従来型)に加えて、2021年から新しく「英検S-CBT」という試験形式を導入しました。英検S-CBTは4技能すべての試験をコンピュータ上で行う試験で、従来のような一次・二次という区別無く、1日で試験を終えることができます。
しかし、2022年4月現在、英検S-CBTに対応しているのは3級~準1級のみで、1級は対象外となっています。今後1級も英検S-CBTの対象となる可能性はありますが、1級には他の級と異なり、二次試験に「スピーチ」とそれに即した質疑応答を行う「Q&A」が含まれるので、採点の煩雑さなどを考えると可能性は低いと考えられます。
「準1級を英検S-CBTで受けたから」などと思って、1級も英検S-CBTで受験しようとしていた人は気を付けましょう。
英検S-CBTについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【最新英検対策情報】英検対策完全マニュアル 試験概要や申込方法を徹底解説・英検S-CBTの賢い使い方

英検1級は準1級と比較してどれくらい難しい?

英検1級を受験するにあたって、準1級との違いが気になる人も多いでしょう。英検1級は英検最上位の級であるため、その難易度も最高峰です。仮に準1級を既に取得している人であっても、十分な対策をしたうえで勉強しないと合格するのは難しいでしょう。

ここでは、具体的に1級が準1級と比較してどれくらい難しいかについて、必要な単語数と合格率を比較しながら詳しく確認していきましょう。

英検1級・準1級の単語数の比較

英検の公式サイトによると、1級の推奨目安は「大学上級程度」、準1級の場合は「大学中級程度」とされています。これらは学年に換算して考えることができるので、それぞれ「大学4年生(卒業)レベル」「大学2年生~3年生レベル」と思って差支えありません。
とはいえ、日本の大学を卒業した人のうち、英検1級に合格できるだけの英語力を持つ人が非常に少ないことを踏まえれば、大学は大学でも「一流大学4年生(卒業)レベル」と言っても良い水準です。
具体的に必要な単語数について、英検からの公式発表はありませんが、上記のレベルをもとに、各学年で一般的に習得が推奨されている単語数をもとに算出すると、1級と準1級で求められる単語数は以下の通りとなります。
推奨目安・レベル必要単語数
1級大学上級程度
大学4年生(卒業)レベル
10,000~15,000単語
準1級大学中級程度
大学2年生~3年生レベル
7,500~9,000単語
参照: 各級の目安|英検
ここからわかるのは、1級が準1級と比較して、2,500~6,000単語ほど必要単語数が増えているということです。単語の数だけで見ても大変ですが、1級では日常生活でほとんど使われないようなマニアックな英単語も多く出題されるため、単語帳での学習はもちろん、英字新聞などを使って積極的に語彙を増やしていく必要があります。
「世界で活躍できる人材の英語力」という触れ込みの通り、英検1級ではネイティブレベルの高い水準での単語知識が必要とされ、一筋縄ではいかないことがわかります。

英検1級・準1級の合格率の比較

英検1級の合格率は約10%。単純計算で10人に1人しか受からない高難度の試験です。
英検では2016年度以降、合格率についてのデータを発表していないものの、2015年までの合格率は10%前後で安定していたため、今後も同程度の合格率で推移していくだろうと予想されます。
その一方、英検準1級の合格率は約15%です。準1級も十分に難しい試験ですが、それと比べて5%も差があることを見ると、1級合格がいかに狭き門であるかがわかるかと思います。

過去に発表されている2008年~2015年までの1級・準1級の合格率は以下の通りです
実施年度1級合格率準1級合格率
201512.0%16.0%
201410.4%15.3%
201310.4%15.3%
201210.0%15.1%
20119.6%14.5%
20108.8%14.4%
20099.0%14.6%
20089.0%14.2%

英検1級の合格点・合格ラインは?

英検1級の合格点は、一次試験が2028点(満点2550点)、二次試験が602点(満点850点)の合計2630点(満点3400点)です。単純計算だと8割近い正答が必要なことになりますが、現在英検では「英検CSEスコア」という独自の採点基準を採用しているため、話はそれほど単純ではありません。
英検CSEスコアとは、2016年度から導入された、国際的な英語力評価の基準であるCEFRに基づいた英検独自の採点方法です。従来のように問題ごとのスコアが決まっておらず、受験者全体の偏差や4技能の得点分布によって統計的にスコア計算を行うため、何問正解すれば合格できるのかが自分では計算できなくなりました。
ただし、英検公式サイトには、英検CSEスコア導入初年度の試験において「1級、準1級は各技能での正答率が7割程度」の受験者が合格したという記載があるため、今後も7割程度の正答をすれば合格できると考えて良いでしょう。

参照:英検CSEスコアでの合否判定方法について|英検

英検1級の配点

英検1級では4技能が測定されますが、それぞれの配点は850点ずつで固定されています。
一次試験:合格点 2028点/2550点
測定技能問題数配点
リーディング41問850点
ライティング1問850点
リスニング27問850点
二次試験:合格点 602点/850点
測定技能問題数配点
スピーキング-(※)850点
参照:英検CSEスコアでの合否判定方法について|英検
※スピーキングの場合、Q&Aなどが含まれるため問題数としてはカウントしていません。
ここからわかるのは、41問あるリーディングと1問しか無いライティングであっても点数が同じだということ。つまり、それぞれの技能をバランス良く得点しなければ、合格点をとることはできないということになります。
また、先述の通り現在の英検では、統計的手法である英検CSEスコアが採用されているため、他の技能に比べて1技能だけ点数が著しく低い場合はマイナス評価となり、合計点数が低くなってしまいます。
たとえば、一次試験において3技能のそれぞれで等しく700点をとったとしたら、合計は2100点になります。合格点は2028点なので、この点数なら間違いなく合格することができるでしょう。しかし、ライティングとリーディングがそれぞれ850点満点でライティングが400点だった場合、単純な合計点は2100点で同じですが、各技能のバランスが悪くなります。その結果、CSEスコア的にはもっと低い点数として換算され、おそらく合格することはできなくなってしまいます。
このように、英検1級に合格するためには、それぞれの技能でバランス良く得点することが不可欠です。得意を伸ばすことも大切ですが、苦手な技能がある人は、CSEスコアの評価を上げるため、まずはその技能を伸ばすようにしていきましょう。

英検1級をCEFRとの対照表で他の試験と換算すると?

先述の通り、英検は国際的な英語力評価基準CEFRに基づいているため、その他の英語能力試験と難易度の比較をすることができるようになりました。
CEFR英検IELTSTEAPTEAP CBT TOEFL iBTTOEFL JuniorTOEIC / TOEIC S&W
C28.5~9.0
C11級7.0~8.040080095~1201305~1390
L&R 945~
S&W 360~
B2準1級5.5~6.5334~399600~79572~94341~3521095~1300
L&R 785~
S&W 310~
B12級4.0~5.0226~333420~59542~71322~340790~1090
L&R 550~
S&W 240~
A2準2級3.0150~225235~415300~321385~785
L&R 225~
S&W 160~
A13~5級2.0200~380
L&R 120~
S&W 80~
表を見てわかる通り、英検1級は上から2番目のC2に属し、例えばTOEICの場合だと9割取ることと同等のレベルです。このことからも、英検1級のレベルがいかに高いかがわかります。

参照: 各試験団体のデータによるCEFRとの対照表|5.英語教育の改善・充実について P.37(P.84)|文部科学省

英検1級合格で得られるメリットとは?

英検1級を受けることには、級合格という達成感以外にも多くのメリットがあります。ここでは、その中でも代表的な2点についてご紹介します。

英検1級のメリット①:大学受験で有利に働く

英検1級を保持していることで、大学受験の際に優遇措置を受けることができます。「英検1級を持っていれば英語の点数に〇点加算する」という加点パターンもあれば、英語の試験自体を満点換算として免除してくれる学校もあります。受験本番で実力が出し切れるとは限らないので、万が一のために英検1級を取得しておくと、より安心して受験に臨むことができるでしょう。
また、大学受験以外でも、大学の単位としての認定、就職活動時のプラス評価、教員採用試験や通訳案内士試験での英語テスト免除など、さまざまな恩恵を受けることができます。

英検1級のメリット②:海外留学に利用できる

英検というと、日本国内での優遇というイメージが強いかもしれませんが、海外留学の際に入学資格として利用することもできます。アメリカを筆頭に、オーストラリアやカナダ、ニュージーランドなど、多くの国で英検が語学力の証明として認められています。
そのうち、一部の4年制総合大学などは、入学資格として「準1級・1級」のみを認めている場合もあります。そのため、英検1級を保持していれば、海外留学をする際に選べる学校の選択肢が広がり、より自分に合った留学先が選べるようになるでしょう。
参照: 英検で海外留学|英検

英検1級は英検の最高峰。しっかり対策をして合格を掴み取ろう!

英検1級は、全部で7つある英検の級の中で最上位に位置する存在です。1つ下の準1級と比べて難易度が大幅に上がっているため、既に準1級を取得している人の場合でも、あらためて入念な対策をしたうえで勉強しないと、合格するのは難しいでしょう。
合格率は約10%で、一次試験と二次試験ともに7割程度の正答率が必要です。しかし、それは裏を返せば10人のうち1人は受かっているということ。狭き門であるとはいっても、通る資格のある人には門は必ず道を開いてくれます。

今回ご紹介したことを参考に、しっかり対策をしたうえで勉強し、英検1級合格をその手に掴み取りましょう!
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